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2012/04/10

カレーと録画予約。

眠る前の歯磨きに洗面所へ向かおうとした時携帯が鳴った。着信は友人Y子
彼女との電話は昔から長話になる。ましてこんな珍しい時間ではお酒も飲んでると思う。

私もキッチンへ行き、飲み物とってこようかな?と考えたけど、リビングには夫がいる。女同士のおしゃべりはあんまり聞かせたくない。

コール音3回の僅かな時間でこれだけのことを一瞬で考えて、そのまま寝室へ上がろうとした。
5回目のコールの途中でに受話器をとった。

「もしもし、○○Y子はご存知ですか?」と若い女の子の声。Y子ではない。

何?誰?とすごく違和感があったけど、実はコール音が鳴ってる4回目あたりから、微かにザワつく予感はしてたのだ。

「どちら様?」ちょっと警戒気味に、でもこの電話の主をなんとなくは特定してる。

「私は、Y子の娘です。母が亡くなりました」

いい話の電話ではないことは予感はしてた。よく聞く第六感とかなんだろうか
それでもその予感を遥かに超える電話だった。絶句するしかなかった。

Y子の長女は葬儀のお知らせを、Y子の携帯アドレスから手当たり次第に、こうして連絡してるらしい。
娘さんにしてみれば母親の携帯アドレスの名前など、誰が誰だかさっぱりわからず、アドレス名もニックネームだけだったり、旧姓だったり、嫁ぎ先名とバラバラらしい。
私はといえば、娘さんに会ったのは小学生の頃。覚えてはないみたい。

亡くなったのは車の中、事故ではない。高速道路のパーキングエリア。
医者の立ち会いがないと死因は特定できないので、司法解剖に廻っていてY子はやっと家に帰ってきたそうだ。

そして友引が重なって亡くなってから5日後に葬儀が決まったので最後のお別れをして下さいと。

私の娘と同じ年のY子の長女に何故亡くなった?と死因を電話口で聞くのも酷で、なぜなぜ?と思いつつ、斎場の場所をメモり「お力を落とさぬよう」と言うだけしかなっかた。

電話を切って、もっと慰めの言葉とかなかったか?娘と同じ年で母を亡くしたY子の長女の心情を思ったけど、やっぱりかける言葉ってなかったと思う。

書いてると、思わぬ長くなったのでまた続きは書きます。


電話を切った後はずっと胸はざわついていて、とりあえず「誰かに知らせなくては」とアドレス帳を開く。
誰かって誰に?一緒に過ごした皆に。最近合ってない人達も?知らせてしまえば皆都合付けるだろう。やはり連絡はすべきか・・・・・とグルグル思ってると、同じように連絡受けた友人からメールが来る。
やはり同じように、どこまで連絡すべきか迷ってらしい。

結局、連絡付く人には親しさは関係なく連絡した。
参列は本人に任せるとして。

通夜が日曜日というのもあり、私達が参加するのは通夜。
私が何人かをピックアップして車に乗せて会場まで行く。

会場近くになって、会場の案内の看板の名前を見て急に悲しくなってきた。
そうだ、あの知らせをもらってから、なぜか悲しさは感じてはなかったのだ。
なんで?ウソでしょ?ばかり思ってた。ちょっと待ってとも思った。

受付。記帳。
お香典を差し出すと「皆さまに辞退させてもらってます」と受け取りはしてもらえなかった。
戸惑ったけど、家族の意思でお別れに来て頂いただけでも・・・・・という事らしい。

Y子は高校の同級生。私が見た最大の美少女だった。初めて話す時私は女の子なのに目を合わせられず、まぶし過ぎてって言うのはこういうことかと思った。
とにかく華やかな人だった。

Y子のお化粧は長女さんと母がしたらしい。あいかわらず綺麗。
まだあかんって思う。早すぎるし楽しみあるし、戻っておいでと揺さぶりたかった。

全てが終わって、あの電話の主の長女さんにY子の話をすると笑っていた。
母は「私はモテてたのに」っていつも言うんですってわらって、で泣いた。

車の中で発見されたので、事件性と自殺も視野に入れ、一時は大騒動だったらしい。

死因は、司法解剖の結果「急性膵炎」ということでした。

痛みで運転を出来ず、パーキングに止めて休んでいたという見解。

Y子家族の心情は察する余りあるけど
Y子のご主人が
「本人は死んだって思ってないかもしれん」って言うのが寂しく
Y子の母親は私達にありがとうと何度も頭を下げ、
Y子の子供達は
「お母さんは、出掛ける時カレーをいっぱい作ってくれてた。でも、それを皆食べずに、それぞれの友人と外ごはんしてた。帰ってきたら母はまだいなくて、帰ってこなくて、でも翌朝テレビ観ながら呑気に食べた。楽しみにしていたドラマの録画もしてあるし・・と思ってたら警察から連絡があった」と

会場を後にして、思わぬプチ同窓会のようになり、少しお茶して帰ろうとテーブルを囲んだ私達。
カレーの話には皆思い当たることがあり、今日も通夜に行くのでカレーを作ってきたという子が数名。もう、大きい子供なのにやはり食事の心配はしてしまうんよね。

ドラマの予約なんて、まだ自分は明日があると思うよね。

長々と書いてしまったけど、会葬返礼の文面はY子の子供達が考えた優しい文面で、やっぱりいなくなってしまったことは、私も残念で寂しい。無念だと思う。


そしてそして、自分の最後の日の為に子供にも希望を伝えた。
縁起でもないって言われたけど、私は世の中から去っても葬儀や死後のことを大丈夫か?ちゃんとやれてるか?と心配したくないのだ。



4 件のコメント:

  1. ktさん、悲しい出来事があったんですね。
    まだまだお若いのに
    まだまだやりたいことがたくさんおありだったろうに
    もっともっとお子さんに伝えたいことや教えてあげたいことが
    あったろうに、本当に無念。

    カレーのお話のところで、思わず泣けてしまいました。
    美しいお母様の思い出を大切に、お子さん達にも幸せに
    なって欲しいです。

    Y子さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

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    1. そうですよね。まだまだ伝えきれない。やりきってないと思います。

      ずっと若い頃は私は「死」というのは映画やドラマなどで、どこか甘くドラマティックな感覚が少しあったんですが、それは実際に近くに亡くなった人がいないからで。

      だんだん、ちらほら自分たちの親とか友人がいなくなる世代になって、より一層日々の大事さを意識しました。

      で、私は自分の葬儀の希望を家族に伝えました。
      やっぱり、母のように話すことが出来なくなってからでは遅いしですしね。

      彼女は料理も上手だったんです。お酒好きな人やしね。

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  2. やりきれないよね。
    Y子さんも、ご家族も。。。その周りの人々も。

    私もカレーの話、胸が詰まってしまったよ。
    普通にそこらへんにたくさんある日常が・・・
    尊いものになってしまうなんてね。

    そのお子さんがちゃんと気づいてお話してくれるところが
    すごいと思った。
    きっと素敵な家庭なのだと思う。

    ご冥福をお祈りいたします。

    うまくコメントできず、ごめんね。

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    1. うん。やりきれないと思ったよ。

      明日も普通に来るっと思ってた日常よね。

      まだ通夜の時の話だから、接待してくれたと思う。娘さんも。
      お兄ちゃんの方が参ってた。
      普通の生活に戻った今頃、喪失感があるんだろうね。

      なんか、こんなに長い文面になるって自分でも思わなかったからこちらこそ、長々とざわついた気持ちを吐露させてもらって。

      ただね。やっぱ大丈夫だろうけど、ちょっとだけ私もカモちゃんも大事な家族がいるわけだし、身体大事にしつつ、伝えるべきは伝えようねーって思う。

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